アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

アニサキスの検査と診断方法

生の魚を食べた後に起きる、突然の腹痛。これはアニサキス症か、それとも……。診断を確定するためには、検査が必要です。それではアニサキス症かどうかを判断するための検査には、どういうものがあるのでしょうか。急激な腹部の痛み、むかつき、吐き気を発する病気は胃潰瘍、胃穿孔、胆石などさまざまにありますから、明確に区別しなければいけません。

検査と診断

寄生虫による症状ですから、一番手っ取り早いのは「実際に患部を確認する」ことです。かつては切開手術によってアニサキスの感染を確認していましたが、1970年代に普及した腹部内視鏡によって、より手軽に患部を確認することができるようになりました。これによってより多くのアニサキス症患者を発見することができるようになりました。しかし、アニサキスが胃を通過して小腸に到達している場合は、内視鏡では追うことができません。小腸から大腸にまで移動していれば、最近進歩している大腸内視鏡検査によって視認することができます。

血液検査血液検査によっても、アニサキスの寄生を調べることができます。
アニサキス症患者は、じんましんなどのアレルギー症状を合併することもあります。これはアニサキスの持つ抗体が血液中に入ることで、アレルギー反応を起こすためです。アニサキス症には、強烈な症状を発する劇症型とほとんど症状がない緩和型の二種類があります。これは、アニサキスに過去に感染して敏感になっている人が、再度感染することで大きな症状を引き起こすと説明できます。アニサキスに感染していれば、アニサキスの抗体に対して血液中に抗原特異IgE抗体が検出されるはずです。血液検査でこの抗体反応があるかどうかで、アニサキス症かその他の病気かを判別することができます。





医者アニサキスが小腸に到達していると思われる場合は、内視鏡で見ることができませんので、X線や超音波による画像診断を行います。内視鏡検査のようにアニサキスの身体をはっきり視認できるのが一番ですが、実際に確認できるのは30%程度ということです。この場合は小腸に特徴的な腫れが出ますから、これで判断します。

また、検査を受ける前に痛みや吐き気が治まったり、痛み止めで症状を抑えた場合は、アニサキスが侵入しようとした場所を中心に肉芽腫が残ります。この肉芽種が別の病気の治療などの機会に発見された場合、病理検査によってアニサキスの体の一部が発見される場合もあります。