アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

しめサバの正しい作り方

シメサバアニサキス症の原因となる魚料理で、もっともポピュラーなのがしめサバでしょう。生のサバの身を塩に漬けた上で酢でしめます。昆布といっしょにしめるのもたいへんおいしく、ファンが多い調理法です。しかしその一方で、アニサキス症ばかりでなく「あたった」という人も多くいる調理法でもあります。しっかり注意して調理することで、問題なく楽しめる料理ですから、基本的な知識を学んでおきましょう。

まず注意しなければいけないのが、「塩や酢ではアニサキスは死なない」ということです。よく誤解をされている方がいますが、塩漬けにしたり酢じめをしたりする工程は、アニサキス予防のためではありません。これはあくまで腐敗防止のための知恵で、アニサキス対策はこれとは別に考えなければいけないのです。さて、それでは一般的なしめサバの作り方を見てみましょう。




シメサバの作り方

  1. 1.さばを洗い、さばく
  2. 海の魚ですから、調理する前によく洗う必要があります。流水できれいに洗って水気を拭き取りましょう。頭を落とし、腹側を切って内臓をかき出します。通常、アニサキスはこの部位に寄生しているので、念入りにきれいにします。腹膜を包丁で切り、手や包丁をつかって内臓を取り出します。取り出した後の腹腔はよく水で洗いましょう。もう一度洗って水気を拭いてから、三枚おろしにします。

  3. 2.塩をする
  4. おろした身をまな板に載せ、尾の方から指で塩をすり込んでいきます。塩は味付けにもなりますし、防腐作用も期待できます。ここでていねいに塩をすり込んでおけば、皮を剥くのが楽になります。

  5. 3.塩漬けにし、冷凍する
  6. 冷蔵庫バットやお皿などに粗塩をたっぷり敷き詰め、その上にさばの身を載せ、さらに身がかくれるほど塩をたくさんふりかけ、室温で3〜4時間ほど置きます。

    その後水で塩を洗い落とし、水気を拭いてサランラップで包み、冷凍庫にまる一日入れておきます。これで、アニサキス対策の「マイナス20℃で24時間おく」という条件を達成できます。翌日、室温または冷蔵庫で自然解凍します。

  7. 4.調味酢を作り、酢じめをする
  8. 酢、砂糖、薄口しょうゆを合わせてひと煮立ちさせ、冷ましてからしょうがの絞り汁を加え、つけ酢を作ります。解凍したさばの身をバットに並べ、両面を酢で洗います。その後漬け酢をかけて30分間締めます。繰り返しになりますが、酢でしめても、塩で漬けてもアニサキスは生きています。絶対に冷凍してからつかってください。
     




  9. 5.腹骨をすき、皮をむく
  10. 腹骨(人間の肋骨にあたる骨)を包丁ですきとり、頭側から一気に皮をむきます。このとき、もしアニサキスを目視で確認できればとりのぞいておきます。冷凍したので死んでいるはずですが、アレルギーを引き起こす可能性があります。

  11. 6.切る
  12. 皮側から切ります。2ミリ幅に切り込みを入れ、次の2ミリ幅で切り落として切り身にしていきます。このように深く切り込みをつけるやり方が一般的なのはアニサキス対策と言えるかも知れませんが、それよりも確実なのはきちんと冷凍することです。

これでしめサバの完成です。何度か繰り返していますが、「酢、塩ではアニサキスは死滅しない」「確実にアニサキスを死滅させるために、24時間以上冷凍する」ということをしっかり覚えておいてください。