アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

どの魚・イカにアニサキスが多いのか?

魚介類の内臓に寄生し、生きたまま食べてしまうと人間に害をおよぼすアニサキス。では、どのような種類の魚介類に多いのでしょうか。

アニサキスが多い魚介類

一般的に要注意と言われているのは、サバ、アジ、イカ、イワシなどの仲間です。また、カツオ、サケ、キンメダイ、ヒラメ、ブリ、マグロによって感染した報告もあります。東京都市場衛生検査所が東京の魚市場で行った調査によれば、調査対象になった90魚種のうちアニサキスが発見された魚種は以下のとおりです。
目視で確認アニサキス

様々な魚介類アイナメ、アカカマス、アカガレイ、アカハタ、ウメイロ、オオニベ、オニオコゼ、カツオ、キアンコウ、キンメダイ、クロソイ、クロムツ、サワラ、シシャモ、シロザケ、スケトウダラ、スズキ、スルメイカ、タチウオ、ニシン、ハチジョウアカムツ、ハマダイ、ヒメダイ、ヒラメ、ブリ、ホウボウ、マアジ、マゴチ、マダイ、マダラ、マトウダイ、メジナ、メジマグロ、ヨロイタチウオ

カレイやアカムツ、タチウオのように加熱して食べることが多い魚はあまり気にする必要はないのですが、生食する魚も多いことがわかります。

2011年の別の論文によれば、スケトウダラは59〜100%が寄生されています。スケトウダラは多くの場合加熱加工されて食べられることが多く、寄生していた部位もほとんどが通常は廃棄される内臓でしたので、感染のリスクは低いと考えられます。肝臓や白子、卵巣の生食は避けたほうがよいでしょう。





日本近海産のサケ・マス類は、50〜100%と高い確率で感染しており、また発見されたのは食用とされる筋肉の部位でした。天然のサケ・マス類の生食は非常にアニサキスの寄生リスクが高いといえるでしょう。

その一方で、アメリカ、カナダ、ノルウェー、チリなどの外国から輸入された養殖のサケ・マス類には、アニサキスが寄生して生存していた例は確認できませんでした。養殖のサケ・マス類は安全といえるのではないでしょうか。サケ・マスの刺し身はルイベとして凍らせて食べることも多いですが、この場合は冷凍時間を十分取ることが必要です。

いか気になる方も多い、イカの寄生率です。調査対象になっていたのはスルメイカだけでしたが、寄生率は2〜24%。なかなか高い確率です。

煮炊きして加熱してしまえば問題ないのですが、筋肉部分に寄生していることも多く、お刺身で食べる場合には注意が必要ですね。イカソーメンのように細かく切ったり、飾り包丁を入れたりするのはアニサキスを殺してしまうための知恵かもしれません。