アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

アニサキスの治療

アニサキス症を発症してしまったら、どうやって治療すればいいのでしょうか。ここでは治療法について見ていきましょう。

主な治療法

ピンセット
アニサキス症の治療法は、実は非常にシンプルです。アニサキス症は寄生虫が胃や腸の内壁に侵入しようとしていて起こるものですから、その原因、つまりアニサキス線虫を取り除けばよいのです。
意外に大きなアニサキス
1970年代以前は開腹手術をしてピンセットでつまんで除去していたといいますが、現在では胃に寄生しているアニサキスに対しては口から入れる内視鏡を、大腸に寄生しているアニサキスに対しては肛門から入れる内視鏡をそれぞれ使用することで、簡単に除去できます。しかし小腸に寄生している場合は、有効な治療法がありません。





ではどうするかというと、痛みを抑えるために抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の投与を行いながら、自然にアニサキスが死滅し、症状が緩和するのを待つということになります。内視鏡以前の時代であれば、「虫垂炎や腹膜炎の可能性もあるからとりあえず開腹手術」ということになってしまったわけで、患者の身体への負担を考えると内視鏡の進歩というのはありがたいことですね。

サナダムシやカイチュウなどの寄生虫であれば、駆虫薬(いわゆる虫下しですね)を飲んで排出させるという選択肢も考えられます。しかし、アニサキスに対しては現在のところ有効な駆虫薬がありません。内科的に根本治療を行うことは難しい、ということになります。

アニサキスに正露丸!?

薬を飲む女性しかし、近年新しい動きがありました。2010年、「ラッパのマークの正露丸」でおなじみの大幸薬品株式会社が、ある特許)の申請を公表しました。この特許によると、「木クレオソート」を服用することで、胃の中でのアニサキスの活動を抑制して症状を抑え、また予防的に服用すれば発症を防いだり症状を軽くすることができるというものです。
すばらしい!!

また、木クレオソートはアニサキスを不活発するということなので、内視鏡を使ったアニサキスの除去を容易にする効果もある、としています。
この木クレオソートは正露丸の主な有効成分ですから、いわば「正露丸はアニサキス症に効く」という主旨の特許申請です。

腹痛や腹下しによく効くとされていて、また歯痛にも効果がある正露丸。この特許が認められれば、今度はアニサキスにも効果あり、ということになりますね。