アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

アニサキスが急増する季節は?

医者アニサキス症が起こりやすい季節というのは、いつなのでしょうか。

アニサキスの生活史を見ると、特段季節に関係あるような要素は見当たりません。昆虫のように、冬の間は卵で越冬し、春になると幼虫になり、羽化して成虫になり、卵を生む……という、四季に応じた生活スタイルというものはないのです。

アニサキスと季節の関係

アニサキスは卵と第一期〜第二期幼虫の期間を海中で過ごし、第一中間宿主のオキアミの体内に入ります。ここで第三期幼虫となり、オキアミを捕食した魚介類の内臓に移ります。さらにこの魚介類が大型の海棲哺乳類(イルカやクジラなど)に捕食されると、ようやく体内で成虫になるのです。

本来この生活環は海中の生物で完結しますから、陸上で暮らす人間は関係しません。しかし人間がアニサキスが寄生した魚介類を食べると、行き場を失ったアニサキスはむやみに胃や腸の内壁に潜り込もうとします。これによって起きる症状がアニサキス症です。




ウィルスさて、

日本でアニサキス症が多く見られるのは秋から冬にかけてです。

月別で見ると、9月が最も多く、次いで10月となっています。これは、サバやサンマなどアニサキスに寄生されていて、かつ生で食べることが多い魚が旬を迎える時期だということから説明できます。

特に秋口はサンマが多く出まわる時期ですね。また近年、魚介類を生きたまま冷蔵して運搬する技術は長足の進歩を遂げました。これによって、以前は冷凍でないと食べられなかった地域の魚を生のままで市場や小売店に届けることができるようになったことも、アニサキス症発症者を増やす原因になっています。

要は新鮮な魚が豊富に手に入り、家庭や外食などで食べる機会が増えるからだ、ということです。また一般に、北方に分布している魚にはアニサキスの感染例が多いことも知られています。サバなど広い範囲を回遊し、北方でも生活する魚は、南海で生まれた場合でも感染している確率が高くなります。
 なおスルメイカは冬にアニサキスの感染例が多く、春にかけて減少していくことが知られています。これはスルメイカの寿命が一年限りだからです。南の海で誕生したスルメイカは春から夏にかけて北日本の海を回遊し、秋から冬にかけて南下して産卵し、一生を終えます。

つまり春先のスルメイカはまだ生まれたばかりでアニサキスに接触する機会がなく、冬場のスルメイカは北日本の海で過ごす間にアニサキスに感染している、ということになります。