アニサキス症には、寄生した部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」があり、それぞれ症状が異なります。

アニサキスの予防

アニサキス症から身を守るためには、何ができるでしょうか。基本的には「生きたアニサキスを体内に取り込まないこと」が大前提となります。ということは魚介類を口にしないこと……というと極端すぎますから、現実的な対策について考えてみましょう。

冷凍

アニサキスは魚介類や海棲哺乳類の体内で暮らす寄生虫です。ということは、生存できる温度はそれらの体内の温度に近いということ。冷凍することで温度を下げれば、アニサキスは死滅するのでしょうか? 答えはイエスです。

マイナス20℃で24時間以上冷凍することで、アニサキスは感染性を失って死滅します。魚介類の体表だけではなく、内部までしっかり凍らせる必要があるので注意しましょう。

生食用の場合はマイナス20℃で7日間、またはマイナス35℃で20時間冷凍すればよいとされています。

加熱

加熱しているお鍋しっかり火を通すことも、アニサキス症予防のためには大切なことです。アニサキスは、60℃の熱に1分間さらされると死滅します。ここで注意が必要なのは、いわゆる「炙り」では筋肉に寄生しているアニサキスは死なないということです。サンマなどの青魚をバーナーで炙ったにぎり寿司はよく見かけますが、生の状態で炙ってもリスクは軽減できません。上記のようにいったん冷凍してから解凍し、炙るとよいでしょう。




酢じめ

これは非常に大事なことですが、一般に食用にする濃度の酢ではアニサキスは死滅しません。つまり、しめサバにしてもアニサキス予防にはならないのです。また、イカなどの塩辛を作る際にはかなり大量の塩を使って漬けますが、濃い塩分に漬けてもアニサキスは死にません。

アニサキスを死滅させるためには、冷凍もしくは加熱によって、アニサキスが生存できない温度下にさらすのが一番の対策です。

女医また根本的な予防法として、アニサキスを取り除くことも大切です。アニサキスは通常は魚介類の内臓部分に寄生していて、魚介類が弱ったり死んでしまうと筋肉部分に移動します。つまり、生きているか絞めたばかりの魚介類を食べる時には、まず急いで内臓を取り除くことです。

内臓に寄生している場合は目視で確認しやすいのですが、筋肉に移動してしまった後に目で見て取り除くのは非常に困難です。冷凍もしくは加熱による温度管理、プラス内臓部分を迅速に取り除く。これがアニサキス症を予防するために行うべきことです。